KYOTO Next Award インスパイア・スタディーツアー(京都市内編)レポート
― 学び、感じ、挑戦する。新たな京都ブランドが生まれる現場へ ―
2026年4月14日、KYOTO Next Award受賞者やファイナリストの皆様の現場を巡る「インスパイア・スタディーツアー」の京都市内編が開催されました。本ツアーは、未来の京都ブランドとして取り組む現場を視察し、実際の事例を学ぶとともに、次期応募を志す事業者同士の交流機会を創出することを目的に企画されました。当協会からは私、小笠原がコーディネーターとして同行し、皆様と一緒に現場での学びを深めました。
街の記憶を未来へ繋ぐ、2つの現場を視察
今回の京都市内編では、以下の2つの現場を訪問しました。
株式会社La Madrague(マドラグ)様(京都喫茶文化遺産)/一般社団法人アーツシード京都(THEATRE E9 KYOTO)様
実際に取組の現場を視察しながら、代表の方々から事業への熱い思いや今後の展望についてお話を伺いました。各訪問先では、コーディネーターの視点から「京都ブランドとしての強みや特徴」についての解説やサポートも交えさせていただきました。
■想い出の味と空間を次世代へ――「京都喫茶文化遺産」という新たな継承の形
― 株式会社La Madrague(マドラグ)―
惜しまれつつ幕を閉じた名店の味と精神を受け継ぐ株式会社La Madrague(マドラグ)。単なるレシピの再現にとどまらず、かつての店主たちが築き上げた「街の記憶」をすくい上げ、現代の文脈で再構築する「京都喫茶文化遺産」の取り組みについてお話いただきました。
視察では、代表の山﨑三四郎裕宗氏から「なぜこれほどまでに喫茶店文化を大切にされているのか」、ご自身の原体験を紐解きながらお話しいただきました。中でも、幼少期の「メロンソーダ」にまつわる思い出のストーリーは、参加者の誰もがかつての自分を重ね合わせ、深く共感する心温まるものでした。そのエピソードの余韻から、その後のランチ交流会ではメロンソーダを注文される方が続出したほどです。
伝説的な「コロナの玉子サンドイッチ」の継承など、喫茶文化を持続可能なビジネスとする戦略的な視点の根底には、こうした「一人ひとりの大切な想い出」への深いリスペクトがありました。地域に根ざした文化を単に守るだけでなく、次世代が誇れる「ブランド」へと昇華させる情熱は、これからの京都の商いを考える上で非常に重要な要素として提示いただきました。

■100年続く小劇場」を京都に――表現者と市民が共創する文化の拠点
―一般社団法人アーツシード京都(THEATRE E9 KYOTO)-
京都市内から小劇場が次々と姿を消した危機をきっかけに、1,000人を超える寄付者とともに産声を上げた「THEATRE E9 KYOTO」。単なる公演会場ではなく、コワーキングスペースやカフェを併設し、表現者と市民、そして地域社会が交差する「複合文化施設」としての新しい劇場のあり方を体現されています。代表のあごうさとし氏から、小劇場における歴史、京都地域という固有の歴史、いろいろな歴史が折り重なって、この「THEATRE E9 KYOTO」の誕生話を聞くことができました。また、民間主導で劇場を運営し続ける覚悟と、アートが街の創造性をいかに刺激するかという深い洞察についても説明いただきました。視察の後半で行われた「身体と呼吸の使い方ワーク」では、まずは暗闇を体感することから始まり、プロの演劇メソッドを通じて「言葉を越えて伝える」ことの本質を体験しました。
東九条という変化し続ける街で、100年後の未来を見据えて文化の種をまき続ける姿勢に、参加者一同、深い感銘を受けました。

■参加コーディネーターとしての感想(総括)
今回のツアーを通じ、「文化を継承し、未来へ繋ぐ」という言葉の重みと、それを実践する経営者の現場の力強さに圧倒されました。マドラグ様が取り組む「喫茶文化の継承」と、THEATRE E9 KYOTO様が目指す「小劇場文化の再興」は、アプローチこそ違えど、どちらも京都の街の記憶を未来の価値(ブランド)へと昇華させる素晴らしいモデルでした。
また、参加された皆様の熱量も非常に高く、視察や体験を通じて「未来の京都ブランド」への解像度が大きく上がるのを肌で感じました。美味しい食事を囲んでのランチ交流会での自然な対話や、演劇メソッドを活用したワークショップを通じ、参加者同士の距離がぐっと縮まったことも印象的でした。
訪問企業の事業内容は、こちらからご覧ください
喫茶マドラグ http://madrague.info/
一社)アーツシード京都 https://askyoto.or.jp/e9
報告:イノベーション・キュレーター 小笠原 知広
【予告】KYOTO Next Award 2027
来年1月くらいに募集開始予定。詳細が決まり次第、Webサイトでご案内されるということでした。
▼KYOTO Next Award Webサイト


