京都市 横田一毅さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビユー

1.参加の動機と学びの内容について


Q1.なぜイノベーション・キュレーター塾に参加しようと思ったのですか?

当時の私は、本業も落ち着き、家を建て、子どもにも恵まれ、いわゆる平成初期の「一般的な幸せ」と言われる人生を歩んでいました。しかし一方で、政治や社会は混沌としており、「このままで本当にいいのだろうか」という漠然とした違和感を抱えていました。

本業である消防職も、社会にとって必要不可欠で誇りの持てる仕事であるにもかかわらず、組織の中には腐敗や理不尽さを感じる場面が多く、過去には辞める寸前まで追い込まれたこともあります。「どうすれば辞められるか」「こんなところにいつまでも居てはいけない」と思いながら、打開策を探す毎日でした。

そんな時、それまで気にも留めていなかった研修や広報資料が自然と目に入るようになり、その中で偶然出会ったのがイノベーション・キュレーター塾でした。

参加費は20万円と決して安くはありませんでしたが、「無料ほど怖いものはない」と考えていた私は、その金額こそが塾の価値を示していると感じました。藁にもすがる思いで、迷うことなく申し込みました。

Q2.受講中に取り組んだマイプロジェクトの内容と、そのプロジェクトに込められた思いについて教えてください。

最初のマイプロジェクトでは、今振り返ると会社への不満や愚痴ばかりを話していたように思います。

その後取り組んだマイプロジェクトが「組織改革」です。

私は消防という仕事そのものが大好きです。社会を支える大切な仕事であり、人々の命や暮らしを守る、なくてはならない仕事だと思っています。

しかし現場では、パワーハラスメントや古い慣習など、職場環境を悪化させる要因が数多く残っています。本来、消防職は体が資本であり、それぞれの能力に関係なく、そこにいるだけで社会に貢献できる素晴らしい仕事です。それにもかかわらず、内部には悪しき伝統が残り続けていることが、どうしても許せませんでした。

人は楽な方へ流れ、長いものに巻かれがちです。行政も企業も、日本社会全体を見ても同じ構造があるように感じています。しかし、だからといって何もしなければ何も変わらず、自分自身にも嘘をつくことになります。

だからこそ、まずは自分の身近な職場だけでも働きやすい環境にしたい。その小さな変化が周囲へ広がり、やがて組織全体の意識改革につながればという思いを込めて、このマイプロジェクトに取り組みました。

2.気づきとプロジェクトの変化

Q3.塾を受講する中で得た気づきは何でしたか?

塾を通じて一番大きかった気づきは、「自分は実はとても恵まれた環境にいる」ということでした。

また、世の中は信用によって成り立っており、その信用を活かせる立場に自分がいることにも気づきました。

さらに、人には誰しも「やってみたい」という思いがある一方で、多くの人は結果ばかりを求め、そこへ至る過程を飛ばそうとしてしまいます。その結果、途中で挫折してしまう人が少なくありません。

だからこそ、大切なのは小さな行動を積み重ね、小さな成功体験を増やしていくことなのだと実感しました。その積み重ねが、自分自身を変える一番確実な方法なのだと思えるようになりました。

Q4.その気づきが、当初想定していたマイプロジェクトにどのような変化をもたらしましたか?

考え方が大きく変わりました。

以前は、「どこか別の場所に理想の幸せがある」と幻想を追いかけていたように思います。しかし塾での学びを通して、今ある環境を受け止め、その中で一歩ずつ行動するという、地に足のついた幸せへ向かう感覚に変わりました。

「やってみれば意外と何でもできるじゃないか。」

そんな前向きな気持ちが芽生え、自分で限界を決めなくなったことが、マイプロジェクトにも大きな変化をもたらしました。

3.現在の取り組みと未来のビジョン

Q5.現在取り組んでいることについて教えてください。

現在は、組織の中でも「長いものに巻かれない、面白いおっさん」を目指しています。

職場では、ちょっとしたおしゃれを取り入れたり、監視社会に流されすぎない姿勢を持ったりしながら、自分らしく働くことを大切にしています。また、誰もやりたがらない仕事にゲーム性を取り入れ、楽しみながら取り組める工夫もしています。

そのほかにも、YouTube「よこちゃんねる」の活動や、消防以外の人たちとの交流、お店を出したりイベントへ協賛したりするなど、経営者のような経験にも挑戦しています。

基本的には、「思いついたらまずやってみる」。その後のことは後から考えるくらいの気持ちで、行動することを大切にしています。

Q6.それを通じて、どんな未来を実現したいと考えていますか?

以前は組織改革に強い思いを持っていましたが、今はその考え方も少し変わりました。

国も会社も、社会全体が本当に変わるには、ある程度行くところまで行かないと変化は起きないのだろうと思っています。そのため、今はそこへ自分のリソースを注ぐことはやめました。

その代わり、子どもの頃に感じていたようなワクワクや楽しさを忘れず、人生そのものの質を高める活動を続けています。

振り返ると、自分が本当に求めていたのは、この「ワクワクする感覚」だったのだと思います。

今の活動を続けた先で、気が付けば小さなコミュニティが生まれ、新しいイベントや挑戦が自然と生まれていく。そんな循環が続いていく未来を実現したいと考えています。

マルシェ


4.他の人への勧めと印象に残った体験

Q7.イノベーション・キュレーター塾をどんな人に勧めたいですか?

まず、会社に言われたからではなく、「自分で参加したい」と意思決定して来ることが、とても大切だと思います。
また、学びや成長に対して対価を支払うことに抵抗がない人。この2つは私にとって必須条件です。

その上で、「失敗が怖い」「自分には無理だと思っている」「視点を変えたい」「もっと豊かになりたい」「何かに挑戦したい」「このままでいいのかとモヤモヤしている」「AIについていけない」「社会に貢献したい」「世界を変えたい」「今の社会に違和感を感じている」「なんとなく暇だ」と感じている人には、ぜひ一度参加してほしいです。

世界の見え方が大きく変わるきっかけになると思います。

Q8.ゲストスピーカーや実践ワークで印象に残ったこと、特にハードルに感じたことがあれば教えてください。

印象に残っているのは、ゲストスピーカーの皆さんが、それぞれ人生が大きく変わるような経験を乗り越え、並々ならぬ人生を歩んできたことです。

また、卒塾生の皆さんも、自らお金や時間を投じながら、強い信念を持って活動されていました。その姿には大きな説得力があり、話を聞くたびに引き込まれ、「自分も頑張ろう」というエネルギーをもらっていました。毎回、次のゲストの講演が楽しみで仕方ありませんでした。

一方で、ハードルに感じたこともあります。

ゲストの皆さんの話は、小さな行動の積み重ねが人生を変えたという内容でしたが、その方々の生い立ちや環境は、一般の人から見ると特殊な部分も多く、「誰でも同じようにできる」とは感じませんでした。

ただ、それでも何者でもない私たちが何者かになろうと思えば、結局は彼ら以上に行動を積み重ねるしかありません。

受講当時は、その「小さな一歩」を踏み出すことさえ大きなハードルに感じていました。しかし今では、結局は「やるか、やらないか」なのだと思います。

人生は有限です。だからこそ、小さな行動を積み重ね続けることが、未来を変える唯一の方法なのだと実感しています。

最後に一言で言うなら、「人生有限。やっちゃえ日産。」です!

横田一毅さん
京都市
イノベーション・キュレーター塾 第10期生