京都で漂う大学生 大竹莉瑚さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー

卒塾第9期生へのインタビューにより、塾の魅力と、塾生のみなさんに起こった変化についてご紹介しています。

2人目のインタビューは、京都の大学に通う大竹莉瑚さんにお話をお聞きしました。

大学休学中に「キュレーター塾」に参加し、「分からなさを楽しむ」をテーマに挑戦を始めた大竹さん。自分を深掘りする中で「問う」「考える」「楽しむ」ことが自分の本質だと気づきます。
自分が楽しく生きることを大事にし、無目的な集いを開いたり地域活動をデザインしながら、「笑っている自分」とそれを周りにも広げることを目標に活動しています。

Qなぜイノベーション・キュレーター塾に参加しようと思ったのですか?

募集のタイミングが、6月で。私、6月生まれなんですよ。自分への誕生日プレゼントに、学びや出会い、経験みたいなものを贈るのって素敵って思いました。休学をしていた年度だったので、いろんなことへのチャレンジ欲求や学びへの飢えみたいなのがあったと思います。休学してるのに、学びに行くんかい!とも思いましたけど、普通に学生してたら得られないものがあるというなんとなくの予感がありました。正直、キュレーター塾がどんなもんなのか、あまりよくわかっていなかったと思います(笑)。
でも休学中の自分のテーマのひとつに、「分からなさを楽しむ」があったので、予感を頼りに勢いで申込ました。

Q:受講中に取り組んだマイプロジェクトの内容と、そのプロジェクトに込められた思いについて教えてください。

「私を全力で生きる」「全力で、ふらふらします」がマイプロジェクト(以下、マイプロ)でした。
今、冷静に考えてみると意味が不明なんですけど、当時の私は大きな発明をしたぐらいの感動がありました。というのも、本当にマイプロ作るのが難しくて。とにかく実践だ!と口酸っぱく言われてたので、ささっと決めて実践したかったのですが、本当にマイプロを考えるのに苦戦しました。
「マイプロジェクト」って聞くと、なんか壮大な感じするじゃないですか。ゲスト講師の話聞いてても壮大だったし。これが彼らのマイプロなんだとしたら、何かとんでもないものをやらないと、社会のために、大きなインパクトを。よき影響を。みたいな。どんどんハードルが上がっちゃって。解決したい課題って何だろう。本質って何だろう。みたいな。完全に行き詰ってました。いろいろ考えあぐねた結果、「自分のことぐらいしか自分ごとにならなくないか?」って。そこからは早かったです。

普段から、人間とは?私とは?みたいなことを考えている学生らしさ全開のモラトリアム人間なので自分を深ぼりしていく作業はすごく楽しかったです。いろんな要素があるけど、自分は「問う」「考える」「楽しむ」っていう衝動で構成されているなということに気づきました。幼少期から口を開けばなんでなんでと、先生も親も困らせていたのを思い出します(笑)。ひねくれているので、はいっていうこと聞けない。今までこの要素に困らされてきた人生だったんですけど、この塾の中ではすごく評価されることが多くて。塾のメンバーには「アンチテーゼだね」とかっこよく言い換えてもらってうれしくなってたりしました。
そんな自分の「問う」みたいな要素と、一回気になりだしたら考え続けてしまうという癖、それなのに気分屋でころっと忘れたりとかもする。とにかく楽しいことが好きで、なんでも楽しむ力がある。(アフリカのルワンダで、予約してたはずの宿が更地になってた時も楽しいが勝ちました)そんな自分の衝動を、愛し、愛でて、全力でこのままでありたいと思いました。

”大人”になる中で、やりたくないことをやらなくてはいけなくなる。”責任”みたいなのを追わなくてはならなくなる。私の衝動はまるで”こども”のようだけど、それを大事にしたまま”おとな”をしたい。一見無責任に見えるかもしれないけど、そう見えてしまうのとか、お叱りを受けそうな主張だとかわかってるんですけど、そんなものすべて理解したうえで、その責任を引き受けたい。自分が自分を楽しく生きる責任を引き受けたいと思いました。物理的にも精神状態的にもふらふらすることで、たくさんの予期せぬ出会いにぐまれました。なんでも楽しむ力があるので、分からない、分かろうとしないままたくさん寄り道して生きていこうと思います。
こうあるべきに疲れたので、どうありたいかを考え続けるそんなマイプロになりました。(あれ?壮大?)

Q:塾を受講する中で得た気づきは何でしたか?

自分のことぐらいしか自分ごとにならない。正義って難しい。誰かのためにっていうモチベーションは素敵だけど、案外自己満だったり、自分のコンプレックスの解消だったりしてる。イイコトしようとしなくてもいい。などなど。

Q:その気づきが、当初想定していたマイプロジェクトにどのような変化をもたらしましたか?

優等生みたいなのがなくなりました。いい意味で、なんでもよくね?ってなって。
誰か救うとか助けるのは、まず自分のことを自分で満たしてあげてからのほうがよいな。と。幸福度高そうな人ってたぶん生きてるだけでよき影響を与えるので、素敵な人に囲まれている(引き寄せているのか?)とも思うし。まずは、自分に向き合おうと。私が全力で悩んで自分に向き合ってる姿って、何らかの影響を周りに与えているんだなっていう感触もありました。よくなろうとしてたけど、したいことをしてる時が周りのリアクションがよくて(笑)。あ、じゃあもう私でいいやん。ってなりまして、あのような壮大ないつまでも未完の結論になりました。

Q:現在取り組んでいることについて教えてください。

主に漂うこと。自分がよいなと思うものをいろんな形で広げて、人と繋がること。
なにかをクリエイトするときに、自分の中では無目的をどうデザインできるかみたいなことが一貫したテーマとしてあって。そのなかで、ふらふらじおっていうポッドキャストやったり、京都の町のあちこちで無目的な集いを開いたり(漂流スタンド)、オールドタウン化しつつあるエリア・団地の中でまちをどう面白がれるか考えてみたり(らくさいっこ/個人)、地域通貨に加盟店(kodona)をもって、面白いご縁をつないだり。京都市の25年続く基本構想考えるメンバーしたり、畑開墾したり、復学したので学生もしてます。まだほかにも、いろいろです。

Q:それを通じて、どんな未来を実現したいと考えていますか?

とくには考えてないです。でも、自分がめっちゃ笑ってる。で、周りにいる人も笑ってる。そんな絵が見えたらいいな。

Q:イノベーション・キュレーター塾をどんな人に勧めたいですか?

なんかつまらないな、と感じてる人。その中でもそれを学校とか会社とか組織とかのせいにしないで、何かしようと思えるひと。(そこまでいったら、もう扉は開いていると思います笑) 

Q:ゲストスピーカーや実践ワークで印象に残ったこと、特にハードルに感じたことがあれば教えてください。

あんたは考えすぎるから、いったん思考をとめなさい。そのまま受け取りなさい。散歩しなさい。自然と触れなさい。です。 

 

大竹莉瑚さん
大学生
イノベーション・キュレーター塾 第9期生