京都府更生保護女性連盟北川美里さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー

卒塾第3期生へのインタビューにより、塾の魅力と、塾生のみなさんに起こった変化についてご紹介するとともに、SILKとつながって頂いている皆さんのご紹介をしています。

第4回目のインタビューは、京都府更生保護女性連盟の北川美里さんにお話をお聞きしました。

北川さんは、厳しい家庭環境や、家族間のコミュニケーションの問題、学校・友人の問題などで孤独感を抱え、居場所がないと感じている若者が安心して過ごせる居場所を作りたいと活動されています。北川さんの創りたい未来とは?ぜひお読みください!

Q:塾に参加したきっかけを教えてください

北川:「京都府更生保護女性連盟」という、犯罪を犯した人や「非行」を行った少年の保護観察などを行う団体の事務局を引き受け、この団体で、少女を貧困や性風俗産業、性暴力から守る「若草プロジェクトinKYOTO」を立ち上げました。会員数の減少などの課題はあるものの、5400人の「おばちゃんパワー」を有しています。そのパワーを地域や少女達を救うことに活かしたいと思っていました。ただ、プロジェクトを立ち上げたものの、何から手を付けてよいか分からず、一緒にやってくれる仲間もおらず、一人で抱えていました。大学院にも入学したのですが、大学院は自分の研究をする場なので、自分が迷っていても分からないものは分からないまま。そんな中、以前プロジェクトについて親身に相談にのってくれたSILKコーディネーターの山中はるなさんに勧められて応募しました。一緒になって考えてくれる仲間が欲しかったんです。

Q:入塾してどうでしたか?

北川:もう一年経つんですね。振り返ると、「あの若かりし頃」という感じ。あっという間だったけど、遠い昔。
塾での日々は、授業で感動し、帰って頭の整理をするのが大変でした。
学びを重ねるうちに、どんどんと「自分がやらなくっちゃ」という気持ちになると同時に、「私でもできるかな」という気になってきました。ゲストスピーカーの話を聞いていて「こんなすごい人でも迷いがあったんか!」と思ったり、自分が抱えている悩みと相手の悩みがフッと合う時があり、励まされました。
塾生同士も、色んな人がいろんなプロジェクトをしていて、個々のやっていくことが見えていくうちに、仲間意識というか、応援する気持がでてきました。全員が同じようなスタートラインにいてる、という感じです。私のプロジェクトに深くコミットしてくれる仲間もできました。
また、塾長・スタッフのみなさんも、本当に親身になってくれる。とってもパワフルで、パワーをくれ、真剣に気持ちに寄り添ってくれて嬉しかったです。
私のやっている事を普通の人に説明しても、「何やってるのか分からへん」と否定されることが多いけど、塾にはそういう人はおらず、まだないものの価値を一生懸命掴もうとしてくれました。

Q:塾ではマイプロジェクトに対してキビしいツッコミがありましたが、どうでしたか?

北川:自分のプロジェクトを人に発表することは普段はあまりありません。また、それを発表したとして、ただ聞くだけか、何も言わずに離れていくだけ。塾では、本気でツッコミをくれる。そして、救いの言葉もくれる。本気で言ってくれると思うと、また考えて発表しようとする。その中で反省点がいっぱいみつかる。塾の授業外で行われるブラッシュアップ会というものがあったのですが、もっと行きたかったです。SILKの大室所長にも話を聞いてもらえた。あんな方々に聞いてもらう機会はめったにないですよね。

Q:マイプロについて簡単に聞かせてください

北川:烏丸今出川の近くにある、「バザールカフェ」というスペースで、週に一回、朝から夜まで、オープンで実験的な居場所を秋から期間限定で作ります。(※)
最低限の食と衣を提供し、居場所や人のつながりを作りながら、今よりちょっとでもHAPPYに行きましょうよ、というメッセージを発信する場を目指します。めっちゃしんどい人が生きづらくなくなったら、他の人もみんな生きやすい社会になると思ってます。また、今は生きづらさを感じてなくても、誰しも心のどこかに隠しているもんがある。
この場所では、自由にしていい空間の中で、つながった子、ひとりずつの良いところを見出すとか、やりたいことを応援する関係性を作っていくうねりや仕組みをつくれたら大成功と思っています。
また、「静岡方式」という、ローテクな地域のつながりで若者の就労支援を行う仕組みがあり、今注目しているのですが、若者を地域の中で応援するシステムなので、いずれは京都にも持ち込めたらと思っています。
レール上で動いている人ばかりの中で、レールが外れたところに、幸せの場所があって、それをみんな応援してるって快感じゃないですか。知ってます?孤立って伝染病で、しかも、喫煙より死亡リスクが高いんですよ。

※北川さんが発案・声掛け。秋からオープン予定。対象は小学生から大人まで。子ども食堂としても機能させる。営業時間は火曜日の11時半から20時。主体は「若者避難基地プロジェクト」。構成員の中に更生保護女性連盟、大学生、ソーシャルワーカーなどの支援者がメンバーとして構成している。NPO法人 山科醍醐子どものひろばの村井さんがコーディネーター。

Q:ズバリ、キュレーター塾をお勧めしたい人は?

北川:何かをやりたいけれども、ちょっと尻込みしている人。背中を押してくれるのでおススメです。
あとは、世の中で打たれすぎて落ち込んでいる人かな。世の中では打たれるけど、塾では守られます。もちろんマイプロに対してツッコミはもらいますが、塾長や所長からツッコまれたらツッコまれるほど、塾生同士で慰め合ったりして愛をもらえる(笑)。安心できる環境の中で自分を見つめてプロジェクトを立ち上げることができます。実現したい夢を持っている人はぜひ。
しかし、そう思うと、家庭もそうかもしれないですね。守ってくれるものがないから、少女や子どももしんどいのやろなと思います。塾ではありのままで良かった。いろんな人がいたし、壁にぶち当たっても、自分であがってくるように仕向けてくれた。私が作りたい場所も、そういう場なのかもしれません。

北川美里さん
京都府更生保護女性連盟
イノベーション・キュレーター塾 第三期生
(役職はインタビュー時の肩書き記載しています)