一級建築士 藤田始史さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー
5期卒塾生のインタビューにより、塾の魅力と塾生の皆さんに起こった変化についてご紹介しています。今回は、一級建築士で、笠置町での地域おこし協力隊の任期期間に入塾し、任期終了後は地域の空き家活用に取り組まれている藤田さんにお話をお伺いしました。ご自身の協力隊経験も合わせて、実現したい未来に向けて、実践をされています。そんな藤田さんに、卒塾を前に、キュレーター塾での変化を振り返っていただきました。
Q:なぜ,イノベーション・キュレーター塾に参加しようと思われたのですか?
藤田:3年前から京都府の南部に位置する笠置町という小さな自治体で、地域おこし協力隊として活動を始めました。その仕事の中で、たまたまイノベーション・キュレーター塾の一期生の満島さんにお会いして、この塾の存在を知りました。笠置町は人口が1200人弱の小さな自治体で、高齢化率が高く、京都府下で唯一の限界自治体です。その町で3年間の任期の中で何ができるのか。地域で活動している中で漠然とした悩みや問題をかかえていたこともあり、この塾に参加することに決めました。
Q:ゲストピーカーの話で印象に残っていること、ご自身の実践ワークに影響を与えたことは何がありましたか?
藤田:様々なジャンルのゲストスピーカーの方にお話をしていただき、それぞれに考えることがありました。「まちづくり」を進めていると、課題に向き合う中で視野が狭くなっていくような感覚があります。その中で、ゲストの多様な話が視野を広げてくれました。特に、株式会社eumo 代表取締役 新井 和宏さんの共感資本社会のお話、佐別当さんの多拠点居住のお話は、自分の考え方・価値観を見直すきっかけになりました。
Q:塾受講中に、取り組まれた実践ワークはどんなことでしたか?ハードルに感じたことはありましたか?
藤田:地域おこし協力隊として活動するなかで、地域のコーディネーターの存在が重要なのではと思い、外部と内部の人を繋ぐコーディネーターとしてまずは活動を始めました。笠置町で活動しようとしてくれる人と地域の人をつなげることで、お互いの意識をかえるようなことはできないかと考えていました。
そのなかで、常に頭の中にあったのは、「一つ一つの取組が客観的に見て正しいのかどうか」「主観だけで動いていないか」ということです。自分が正しいと思っていることが、本当に地域のためになるのか。正しさを決めるのは何か。悩みながら、考えながらワークを進めていました。
Q:イノベーション・キュレーター塾を受講する中で,どんな気づきがありましたか。また,その気づきにより、当初設定していた「実現したい未来」は変化しましたか?
藤田:価値観を変えること。それが一番大きな気づきだったと思います。当たり前だと思っていることを疑ってみること。言葉では簡単ですが、課題解決に向けて悩んで絡まっている段階ではなかなか難しいものです。ゲストの話や塾生の会話から、その絡まりが少しずつ溶けていくように感じました。
地方都市でまちづくりをしている中で、どうしても都心部と比較して取り組みを進めていたのですが、地方都市らしさや良さを残す方向のまちづくりに切り替えるきっかけになりました。
Q:キュレーター塾卒塾後に向けた展望を語ってください。
藤田:都心部には都心部の良さがあって、地方都市には地方都市の良さがある。そのように今は感じています、評価の基準が違う。新井さんの共感資本社会のように、顔が見える関係など、地方都市ならではの評価基準を活かしたまちづくりができないか取り組みを進めています。
都心部と比べて、地方都市は遅れていると思われがちですが、評価基準を変えれば、地方都市の方が進んでいるのではないか。そのような地方都市の魅力を守っていけるような社団法人を、今年度中に設立できるように進めています。
Q:ズバリ、どんな人にイノベーション・キュレーター塾の受講を勧めたいですか。
藤田:塾の講義を受けている間に、コロナの問題が発生し急激に社会が変わっていくような状態にあります。その中で大切なのは、「問題を定義する」能力だろうと思います。「なんとなくおかしい」「なんか変だ」と感じているときに、何が問題なのか。その問題を明確にすることです。(問題を解くのは、だれか得意な人を探せばいいので)
いろいろ悩んでいる人が、この塾でその悩みを解決するきっかけになってほしいなと思います。
※京都府商店街創生センターの藤田さんの活動紹介記事はこちら
https://syoutengai-c.com/introduction-article/kasagimachidukuri/
藤田始史
一級建築士/地域おこし協力隊/イノベーションキュレーター塾五期生