株式会社GSユアサ 島田順一さんーイノベーション・キュレーター塾生インタビュー
現在、第4期生を募集中のイノベーション・キュレーター塾。
こちらでは、第3期生へのインタビューにより、塾の魅力と、塾生のみなさんに起こった変化についてご紹介します。
第1回目のインタビューは、株式会社GSユアサ、リチウムイオン電池事業部で生産管理の仕事をされている島田順一さんにお話をお聞きしました。
この塾で学ぶことで、今まで学んできた知識がつながり、自分が取り組んでいきたいことが明確になったそうです。
会社の肩書きを外して、社外で新しいことを学びたい、学びを自分の行動に活かしたいという方。島田さんのインタビューを読んで、未来への一歩をイノベーション・キュレーター塾で踏み出しませんか?
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■塾に参加したきっかけ「おもしろい人たちとの出会いが期待できたから」
田中: まず、塾に参加したきっかけを教えていただけますか?
島田: ホームページ経由で塾のことを知りました。京都D-schoolに参加してビジネスモデルを学んでいたこともあり、イノベーションには関心を持っていました。そのときはキュレーターの意味は分からなかったのですが。また、大阪大学のワークショップデザイナー育成プログラムにも参加したことがあり、平田オリザさんを知っていて、他の講師の方にも興味がありました。
社外で学ぶことに関心があったので、セミナーなどはよく参加していましたが、通年のプログラムでじっくりと学ぶことで、より深く学ぶことができるのではないかとも思いました。後期の「実践の場」があるという言葉も魅力的でしたね。
実は、申し込みの決め手は応募書類なんです。応募書類に「志望動機」を書く欄があり、一定のハードルを越えた人たちが申し込んでくるだろうと思いました。おもしろい人たちとの出会いに期待ができるだろうと。
■塾での気づき・入塾して「新しい世界に視野を広げることができた」
田中: 実際に入塾してみて、様々な分野のゲストから話を聞いてどうでしたか?
島田: どのゲストも印象的です。初回の大室先生の「メモをとるな」という言葉もインパクトがありましたね。「このおっちゃん、何?!」と。(笑)
でも、なぜそんなことを言うのか。よくよく考えてみると、なるほどと思います。その他のゲストの方からも多くのことを学び、視野を広げることができましたが、中でも私が印象的だったのが、認定NPO法人D×Pの今井紀明さんです。
田中: 具体的に、どんなお話が印象的だったのでしょうか?
島田: 「ずば抜けた行動力が自分にはある」そう彼は話していました。過去の出来事と、現在彼が取り組んでいることに、共通点がみえたんです。彼は自分の経験をもとに、若者の可能性を追求している。定時制高校は、私にとっては全く知らなかった世界。そこに対して取り組んでいる彼の姿から、新しい世界に触れることができました。
私も会社の中で、人を育てることに取り組んできました。でも、それは採用という一定のフィルターを通ってきた、ある程度同質な考えをもつ社員が前提です。多様な人を育てるという意味では、定時制高校で取り組んでいる彼の方がはるかに幅が広いと感じました。
彼の取り組みのことが気になり、講座終了後に開催されたD×Pのイベントに参加したんです。彼の話には迫力がある。D×Pになんらかの形で関わりたいと申し出たら、D×Pの授業に携わる社会人・大学生ボランティアであるコンポーザーを勧められました。年齢制限を超えていたんですが、申し込んでみたら面接を経て登録させてもらえました。
田中: すごい行動力ですね!
島田: また、D×Pのイベントに参加したことで、ある1人の高校生とも出会いました。私が名刺交換をした最年少ですね。学校には行けていないようでしたが、航空宇宙に関心があるとのことだったので、当社の会社見学を提案しました。当社は航空分野の電池を扱っているので、とても興味を示してくれました。実際、当社の工場を目にして、彼が思っていた工場と大きく違うことが、彼にとっての気づきになったようです。先日NASAに行った際のお土産をプレゼントすると、とても喜んでいました。
田中: 素敵ですね。島田さんのマイプロジェクトにつながる一つのアクションですね。
島田: 自分が高校生から学びたいと思ったんです。会社生活においては、接することができたとしても大学生まで。私は、若い子の方が優秀だと常々思っています。年齢を重ねて偉そうなことを言っている人も、経験があるだけ。今までに接したことのない若い人からもっと学びたいと思っています。
田中: なるほど、ゲストの話を聞くだけではなく、さらに深く知ろうと行動を起こすことで、新たな学びを生み出しておられるのですね。もう一つ、塾の特徴として、自分が当事者性をもって実現したいプロジェクトである「マイプロジェクト」の作成とブラッシュアップがあります。そちらはいかがでしたか?
島田: 塾では、自分のマイプロジェクトを作るだけではなく、仲間のマイプロジェクトに意見したり、意見をもらったりを繰り返します。その過程を通じて、自分の視野が狭かったことに気づくことができました。自分がいかに自分のことを分かっていないか。私は、自分の挫折経験を隠していることに気づいていなかったんですね。自分が認めていなかったんです。人のために行動したいという想いと、自分の経験が繋がっていませんでした。
田中: そのことに気づいた一番のきっかけは何だったんでしょうか。
島田: マイプロジェクトのフォローアップ会で、髙津塾長や大室先生に問いかけてもらったことです。それが大きな転機になりました。大人になってから、自分のやりたいことに対してじっくり話を聞いてもらい、問いかけをしてもらえる機会は少ないでしょう。今思えば、何を聞かれるか分からないことに怖さを感じていました。そして、それにうまく答えようとしすぎていた。自分で殻をつくって、上辺だけで答えていたんです。その殻を壊される怖さを感じていたと思います。でも、一度壊してしまえばなんてことはない。後になってじわじわと感じたことです。
田中: ブラッシュアップの機会を経て、今の島田さんのマイプロジェクトは何でしょうか。
島田: 自分が人のためにどう役に立てるのか。マイプロジェクトを磨いていくことは、修行ではないと思っています。自分が楽しいと思うことについて、どんどん行動していきたい。今井さんも、髙津塾長も、チャレンジを楽しんでいるように見えるから魅力的なんだと思います。楽しくないと続かないですしね。
田中: 島田さんが今、楽しいと思うことは何ですか?
島田: 自分の経験していないことを知ることです。D×Pのコンポーザーに申し込んだことや、キュレーター塾同期の中田俊さんが運営する「学び場とびら」の壁をペンキで塗って空間づくりを手伝ったこともそう。やってみることで見える世界が変わります。やってみて駄目だったとしても、やってみないより見える世界が広がる。新しい経験をすることがワクワクします。
田中: 塾を経て、会社の部下に対する接し方も変わったのでしょうか?
島田: そうですね、話をよく聞くようになりました。年齢なんか関係ないと自分は思っていますが、若い子から見たらそうではない。いかに彼らが話しやすい場をつくるかが大事だと思っています。そのためには、自分の言葉や態度が重要です。
また、質問をよくするようになりました。聞くことに徹し、いかに話をしてもらうかを大切にしています。誰でもそうですが、話続けていると気持ちがよくなるので、本音がでることが多い。生産管理が私の仕事なので、現場の人の話をたくさん聞くことで話が繋がっていき、現場の状況がよくわかります。
■今後の挑戦・実現したい未来「失敗してもやり直せるチャンスがある未来」
田中: 塾を通じて多くの気づきを得て、新たな行動につながっているのですね。そんな島田さんの今後の挑戦は何ですか?
島田: 失敗してもやり直せるチャンスがある未来です。失敗って特別なことではなく、普通にあることですよね。しかし、世の中では受験の失敗、仕事での失敗などなど、失敗の烙印を押されていく感じが強く、自分ではそれが当たり前だと受け止めていました。でも、新しいことへのチャレンジには失敗が付きまとう。前向きなチャレンジに対する失敗を否定されると、次にチャレンジしようと思わなくなります。マイプロジェクトを通して、自分も、人にも、どんどん楽しく一歩を踏み出していってもらう。それが、失敗を許容する未来につながるのではないかと考えています。
■おすすめしたい人「企業の名前や肩書きを外した自分に興味がある人」
田中: これからの挑戦が楽しみですね!第4期イノベーション・キュレーター塾の募集が開始しましたが、どんな人に塾をおすすめしたいですか?
島田: 新しいことを学びたい、普段の仕事や生活では出会うことのない人と会ってみたいと思う人がいいと思います。私は、今まで断片的に学んできたことが塾を通じて繋がってきたように思います。D-schoolとワークショップデザイナー育成プログラムで、ビジネスと人の繋がりをそれぞれ深く学んできましたが、イノベーション・キュレーター塾はちょうどその間をつなげてくれたと感じています。それこそがキュレーターを育成することなんですよね。振り返ってみて、プログラムの構成がとても考えて作られていると感じます。
でも、短期的に自分のビジネスにつなげようという人は合わないかもしれませんね。その意味では、企業の名前や肩書きを外した自分に興味がある人でしょうか。また、現状に不満があって、行動できていない人はきっかけをつかめるかもしれません。でも、結局は、これを見て「なにかおもしろそう!」と感じる人は、ぜひ参加してほしいと思っています。
田中: ありがとうございました!島田さんのこれからのチャレンジを応援しています!